「ねえ、メタルって一番長く博士といるんだよね」
「・・・まあな」

その日の昼食は炊きたてのご飯とアサリのお味噌汁と焼いた鰆と肉じゃがでした。
できたてほやほやで湯気の立つ品々を前に、メタルマンの六つ後に作られた後続機であるヒートマンは目を輝かせました。大皿から自分の分の肉じゃがをとりながらも、会話は途切れさせません。ヒートマンはアルバート・W・ワイリーが作り出したロボットの中でも特に好奇心が強くおしゃべり好きなのです。

「じゃあ昔の博士ってどんなのだったの? やっぱり今より若かったりするの?」
「博士のことなんだから博士に聞いたほうがいいんじゃないか」
「ぼくはメタルの口から昔の博士の話が聞きたいの!」

メタルマンはいつも通り作るだけ作って料理には一切手を出しません。

「今と大して変わらないさ。だが、そうだな。昔は俺も料理なんて出来なくて―」

初めて聞く昔話にヒートマンは興味津々です。
当のアルバート・W・ワイリーはというと、黙ったままアサリの身を殻から外したり鰆の骨を取ったりしていました。