(スカルとカリンカのお話)
(スカカリと言えないこともないかもしれないけどもはやこれはカリスカの域)
(そしてスカルのキャラが迷子(^q^ )三( ^q^))







「ごめんなさい!」

 相手ががばりと頭を下げていなければ面食らった自分の顔が見られていただろう。いきなり何を言っているんだこいつは、という困惑の沈黙をどうとったのか、頭を下げたまま少女は続けた。

「私、あなたのこと誤解してたわ・・・、とても。本当は優しい人だった知らなかったし、知ろうともしなかった。虫がいい話だけど、私、こうやって頭を下げるくらいしかできなくて、」
「優しい?」

 険の籠った声で問うと、見下ろすつむじがびくりと揺れた。いつも被っている帽子は、今は大事そうに胸の前に抱え込まれている。

「はんっ。誰に言われたか知らねえが、いい子ちゃんでいるのも大変だなあ? 褒め言葉を探すにしても、もう少しまともなのがあっただろうに」

 困惑が苛立ちに変わっているのを自覚しないまま続けると、帽子をぎゅっと握りこんでいた子どもがキッと顔をあげた。それにスカルが思わずひるんでしまったのは、その大きな眼が潤んでいたからだと、少なくともスカル当人は思い込んだ。

「違うわ! ひどい! どうしてそんなこと言うの!」
「はあぁ? どうしても何も、」
「自分のことまるで褒める所がない人間みたいに言って! 自分の魅力にさっぱり気づいていないのね!」
「俺のどこが優し」
「あのねえ、わかってないみたいだから教えてあげるけど、優しくない人間は好きでもない小娘の呼び出しにわざわざ応じてこんな遠いところまでのこのこやって来ないわよ!」
「・・・まともに会話する能力を身につけてから出直してきな、嬢ちゃん」
「いやよ! 私、今日はやらなきゃいけないことがたくさんあるんだから、こんなところで引き下がれないわ!」

 初めのしおらしさはどこへ行ったのか、熱のこもった口調でスカルに詰め寄るカリンカに、無意味と分かっていながらも眉間を抑えたスカルは長いため息をついた。
 今回カリンカの呼び出しに応じたのはこないだの騒動からコサックに釘を刺されたからであり、優しさでもなんでもなく一種の仕事のようなものである。
 こいつが軟弱な人間でなければ鉛玉の一発でも入れてやるのに、という内心を抑えてスカルは絞り出すように声を出した。

「・・・一応、その用件とやらを聞いてやるから言ってみろ」
「あら、ありがとう。心配はいらないわ、大きく分けたら二つしかないから」

 大きく分けなくてもいい。

「一つ目はね、謝りたかったの、あなたに。だからほら、はい」

 言うとカリンカは、大事そうに抱えていた帽子の中から、片手で何かを引っ張り出した。細長い黄緑の先に小さく薄い白が何枚もあって、さらに被さるように黄色がある。

「・・・花?」
「ええ、カモミールよ。あなたって花言葉とか興味なさそうだから、本当にただの自己満足になっちゃうんだけど・・・」
「まったくだな」
「うっ。うん、そうなんだけど、こういうのは大事なのは気持ちよ気持ち! ほら、受けとって!」
「ふざけるな。なんで俺がてめえのままごとに付き合わなきゃなんねえんだ」
「まあ! ままごとじゃないわ、本気よ! 仲直りのしるし、受け取ってくれなきゃ次に進めないわ!」

 怒る意欲を端から削げ落とされていくスカルはこの短時間で大分疲れた様子で聞いた。

「・・・次ってのは、なんだ」
「二つ目の目的よ! この謝罪を受けとってくれたら、そしたら、私たち友だちになりましょう」
「あぁ?」
「友だちよ。私、あなたみたいに優しい人とお近づきになりたかったの」

 コサックはこのガキを一体どうやったらこんな性格に育てられたんだ!
 そもそも俺は人じゃない、と反論する機会をすっかり逃してしまったスカルは、見上げてくる視線と揺れるカモミールに耐えきれなくなって、明後日の方に目をやった。










それはまぶしすぎるよ

(空代さんの母の日@手ブロをみたらいてもたってもいられなくなった)(すみませんでしたまじで)