私室のベッドで何をするでもなくごろごろしていたフラッシュは、突如部屋を襲った轟音に跳ね起きた。何事かと辺りを見渡すまでもなく、壁に見事に開いた穴を見つける。
ガラガラと崩れおちる元・壁の欠片とともに、ひどく見覚えのあるドリルが見えてため息をついた。
「何やってんだ、お前は」
「フラッシュ」
案の定、穴の向こうにはオレンジの機体がいた。フラッシュがいるのを見つけたクラッシュは、かろうじて残っていた壁を踏み壊しながら部屋に入ってきた。それにも色々と言いたいことがあったがひとまず堪える。クラッシュとの会話は忍耐力がいるのだ。
「・・・で、何やってたんだ」
「さがしもの」
「探し物ぉ?」
そういえば隣の部屋は今でこそ倉庫のようになっているものの、クラッシュが何度も壁や床をぶち抜いて最終的に今の特別仕様の部屋に移されるまでは、クラッシュの私室だったと聞いたことがある。
「探し物するならせめてハンドパーツに換えてからやれよ」
「一人じゃ換えれない」
言いながらクラッシュは両手のドリルを緩く回す。
「あーもうわかったよ。換えてやるから回すのやめろ」
ベッドから降りながらそう言うとピタリと止まった。
がれきが点在する代わりに若干広くなってしまった部屋を誰が直すのか今は考えないことにして、ちゃんとドアから部屋を出る。クラッシュも当然のように後に続いた。
「フラッシュ」
「なんだ」
「ごめんなさい」
振り返ると自分が掛けた迷惑は理解しているらしく落ち込んだ様子のクラッシュがいた。
「・・・」
言いたいことは山ほどあったがなんだかどうでもよくなったので、無言でバイザーを一発小突いてまた歩き出す。
しかし今度はクラッシュがついてこないので、フラッシュはもう一度振り返った。
「・・・壁を壊しちゃったので修理してくださいメタルお兄ちゃん。復唱」
「壁を壊しちゃったので修理してくださいメタルお兄ちゃん」
「あとでそれメタルに言いに行け」
「・・・?」
「それでチャラだ。ほら、行くぞ」
そう言ってさっさと歩きだしたフラッシュの後を、慌てたようにクラッシュが追った。