メタルは廊下を歩いていた。
特に目的地があるわけではなく、いうならば見回りといったところだ。ラボやワイリーの部屋など主要なところは問題がなく、今は奥にあるメタルの部屋から順にナンバーズの私室を回っているところだった。
廊下も見たところでは異常がない。が、メタルは足を止めた。
「出てこい」
返事はない。メタルの足音も止み静まりかえった廊下では、排気音だけが大きく聞こえた。
「だんまりか? 俺と隠れ鬼をするのはお勧めできないが」
二秒の沈黙ののち、天井の通気孔が乱暴に開いた。
その後緑色の機体が音もなくメタルの目の前に降り立つ。
「参ったなあ。かくれんぼは得意な筈なんですけど」
「相手が悪かったな」
装甲についた煤を払いながら、スネークは口角を上げた。
「毎回どうやって見つけるんすか」
「勘だ」
「勘?」
一瞬目を瞬かせた後、スネークは思わずという風に噴き出した。
「よりにもよって勘か! 俺、これでも一応偵察機なんですよ」
「そうか」
「そうですよ。本当、とんでもないやつだな、あんた」
変わらず笑い続けるスネークをメタルは無感情な目で見て、そのまま視線を横へやった。ちょうどスネークとメタルの中間に、フラッシュの私室へのドアがある。
「フラッシュは今休憩中だ。日を改めろ」
「へえ? 先輩の所に行くなんて一言も言ってないが」
それも勘ですか、という問には答えず、一歩距離を詰めた。フラッシュいわく何を考えているのかわからない能面で睨んでみるが、フラッシュいわく人の気に障る笑顔を浮かべるスネークに動じる気配はない。
「仲がいいのはいいことだが、線引きを間違えるなよ」
「それはあんたにこそ必要な言葉じゃないんですか?」
「間違えないさ。俺は兄で、あの子は弟だ」
「それならご心配無く」
部屋の目の前でやりとりしているにも関わらず、フラッシュが起きてくる様子はない。
「俺は後輩で、あの人は先輩だ。これでいいんでしょう」
「…それ、ちゃんと直しておけよ」
また質問を無視したメタルは、天井で開いたままになっている通気孔を閉めるように言って見回りを再開した。