「暴走をするな」

こう言われ続けてどれくらいだろうか。少なくとも、おれがナンバーを与えられ、DWN013クラッシュマンとなる前から言われていたので、随分長い付き合いになる。
おれの暴走が兄弟達に多大な迷惑をかけていることはわかっているし、暴走をしないようにと心がけているつもりだ。しかしそれでも、しばしばおれは暴走を起こしていた。

というのも、暴走している最中、おれには暴走をしているという自覚が全くないのだ。敵を倒すのと同じように、仲間を攻撃してしまう。戦闘にCPUの容量を 取られ過ぎて索敵プログラムの制御が外れるから、らしいが、それがわかったところでおれにはどうしようもない。お前は右目の方が瞬きをするのが早いから直 せと言われているようなもので、ほとんど意識せずに行っていることを改善するのは骨が折れる。


その時もおれはまたやらかした。
機体を揺さぶられるような衝撃に一瞬データが飛び、復帰したときにはメタルとエアーが目の前にいた。メタルは致命傷こそ負っていないもののあちこちにヒビが入っていてぼろぼろだ。
何があったのか聞こうとして止めた。

「気は済んだか、クラッシュ」

エアーはその頃には大分手加減がうまくなってしまっていた。
おかげでおれは大丈夫で、むしろメタルや今いる部屋の方が大丈夫じゃなかった。

「…ごめんなさい」
「気にするな。その分今から働いてもらう」

了承の意を込めて頷いた。メタルはそんなおれをしっかり見てきたが、そこからは少しの非難も伝わってこなくて逆に居心地が悪かった。

「フラッシュとクイックがマザーからデータを抜き取り次第撤退だ。クラッシュには二人のいる部屋から出口までの最短ルートにある障壁を破壊してもらう。いいな」
「了解した」

間髪入れずに返事をするとメタルは満足げに頷き返した。メタルが指揮を執っているということは、フラッシュはもうダイブしたのだろう。
エアーにも指示を出すメタルを見ながらおれは考えていた。

最近よく思う。おれはDWNに相応しくないロボットだ。