歯車が歯車であるために父は殺された。
私は人を怨むことを知った。殺意を持つことを、殺したいということを、ころしてやりたい
私の念願は叶わなかった
だが叶った。
彼らにとって、やつらの何かがじゃまだったのだろう。
現場を見に行った。
KEEpouTというテイプのむこうは瓦礫だった。
なにもない。何もなかった。人もロボットも歯車も
しつれい。ゴミみたいな人間のぬけがらだけはあった
かれらはロボットらしい。
父は歯車が歯車らしくあるために死んだ
ひとり女だけが残った。父を奪われ泣いている。ころしてやりたい
彼らの作る世界のことはよく知らなかった。
作りたい世界か。どうでもいい。
どのような世界であるだろう。父がなれなかった歯車の世界か
父はなりたくなどなかった。私だって父は父のままであってほしかった
歯車は歯車であるべきだから父は歯車として死んだ。
だけど歯車の世界を望む彼らにやつらは殺された。
時計の歯車であるべくして父は死んだのに、できた時計は、よくできたからくりによって、つぶされた。
彼らの作りたい世界はどんなだろう。
歯車が歯車であるために、歯車としてならば父は生きれるだろうか。
私は生きたいのだろうか
よくわからないけども、時計がつぶされたのを見てすっとする。
やはり人は歯車にはなれないのだ。
父を歯車にしようとするから時計はロボットの彼らに認められなかったのだ。
彼らがロボットとして世界を望むことを望む。
そうすれば歯車になれない人間はほとんど死ぬ。歯車になれない人間とは、つまり、人間のことだ。
最近良く思う。多分私は死にたい。
だから彼らには生きていてほしい。一度だけあったこともある。
私は彼らを少なからず好ましく思っている。
電脳世界で会った君。
まとまりがつかなくて申し訳ない。歯車にならない人間であるところの私にはうまくできない。
私は多分死にたい。だからそして君たちに生きてほしい。
上手く届くだろうか
父は死んだのは君らのようでないからだ。時計も私も君らのようになれない
なりたいとは思わない。
君らはどうか歯車であってほしい
君に
ぶちん。
むりやりコードを引き抜いた。データ破損の可能性があるため、本当はやってはいけないのだが、時と場合による。
そして今はその場合だった。
ダイブ中はときどきああいうのに当たる。
人間の感情はロボットよりさらに複雑で不可解なつながりを見せるため、当たってしまったらすぐに接続を切らないと良くないことになる。
良くないこととは具体的に言うとデータ破損とかオーバーヒートとか疑似体験とかだ。
疑似体験。
俺も黄色いテープの向こうの瓦礫を見た。
「胸糞わりい」
今日はやめだ。
ああいうのは下手なウイルスよりよっぽどタチが悪い。
気分転換のダイブだったが結局カメラを持って外に出る羽目になった。
気分転換の気分転換だ。