「なに」
声が
冷たい声が、縋るようにして抱きしめるクイックに降ってきた。
「わかんねえ」
「痛えんだけど」
「故障して帰ってくるお前が悪い」
「あーあー悪うございました。以後気をつけます」
うんざりして返したフラッシュの声を聞いている内に、安堵が薄れて苛立ちばかりが勝ってくる。
けれど温かい機体を手放すのは惜しいので、そのままでクイックは口を開いた。
「直らなかったらどうしようかと思った」
叱ってやろうと思ったのに、思いの外細い声になった。
「博士も、メタルも、俺ができることは何もないっつーし、むしゃくしゃしてどうしようもないから走りに行っても全然すっきりしねえし、寝れないし、いつ見に行っても、お前、寝たままだし」
「あーー、うん」
「うん、って、それだけか」
「何が」
「言うこと」
「・・・悪かったよ、心配かけて」
「・・・心配?」
「はあ。え、心配してくれたんじゃねえのかよ」
「なんで俺がお前の心配なんかしなきゃいけないんだ」
「はあ?」
素っ頓狂な声を上げたフラッシュに、クイックも眉を寄せて体を離す。
フラッシュは何言ってんのこいつ、みたいな顔をしてクイックを見ていた。
「いやいやいや、あんだけ言って心配してねえわけねえだろ」
「俺が一言でも心配してるって言ったか?」
「言ってはねえけど・・・。ええ? マジで言ってんのか? どうなってんのお前?」
「なんだよ、お前が俺の前でやられるから悪いんだろ」
「だからそれに関しては悪かったと思わないでもないけど、それより結局、え? 心配してないのか?」
「してない」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「お前、バカだバカだとは思ってたけど、ここまでとは・・・」
イラッと来たクイックは、フラッシュの負傷した左の下腹部に響かないように気を遣いながら、それでもやっぱり腹が立つので、無防備な右の二の腕を出力全開で掴んでやる。
「ちょ、痛い痛い痛い!」
「うるせえ! 弱いくせにしゃしゃり出やがって、お前は大人しく基地に閉じこもってりゃあよかったんだよ!」
「あぁ?!」
ところでフラッシュは今までベッドに横たわっていたので、突然乱入してきたクイックに抱きつかれてからの今の状態はマウントポジションをとられているのに等しい。
しかしそんな劣勢を感じさせない勢いで振り上げられたフラッシュの左足は、見事にクイックの右わき腹にヒットした。
たまらずフラッシュの右腕を開放して蹴られた部分を押さえたクイックは、ない青筋が立つのを感じた。
「怪我してるから手加減してやったら調子に乗りやがって! ぶっ壊すぞ!」
「はっ! 上等だ表に出ろ! 二秒で鉄クズにしてやるよ!」
二機とも騒ぎを聞きつけたメタルにこってり絞られた。