「スパークマン」

 声をかけると特徴的なアームを持つオレンジの機体がのんびりと振り返った。

「あれ、シャドーくん。どうしたの?」
「・・・ふむ、驚かないな」

 残念そうに呟いたシャドーマンは、天井につけていた足を外して、音もなく床に着地した。スパークマンは少し首を傾げていたが、思い当たることがあったのか両腕の電極をカシリと合わせた。

「あ、そっか。ごめん、驚いた方が良かったね」
「驚いてほしかったのは事実だが、わざと驚かれても寂しいものがあるな」
「大丈夫、次はちゃんと驚いて見せるから」
「いや、拙者はそういう心構えがない状態の相手を驚かせるのが好きなだけで、無理に驚いてもらう必要はない」
「ええー? でもそれじゃあ、驚けないよ、僕」
「・・・・・・」

 それは自分のやることに衝撃がないということか
 聞きたかったが聞いたらむなしくなるだけだと懸命にも判断したシャドーマンは、この会話をさっくりなかったことにして本題を切りだした。

「ところで、ハードマンを見かけなかったか」
「ハードくん? うん、見たよ」
「本当か! 今どこにいるかわかるか?」
「えーっとねえ、あれはどこだったっけなあ・・・。建物の中だったとは思うんだけど」
「基地内か」
「ううーん、そうだったような、なかったような・・・。あ、誰か他にも一緒にいた気がする」
「・・・・・・誰か聞いても?」
「ちょっと待ってね、今思い出すから」

 シャドーマンは電極から時々放電しつつ頭を捻るスパークマンと少し距離をおいた。「タップくんだったかなあ? でも一緒にいる理由がわかんないし・・・。あ、シャドーくん! ではないか・・・。今僕に聞きに来てるんだもんなあ」と呟いているスパークマンを見ていると、人選を間違った気がしてくる。

「マグネットくんとかは・・・」
「マグネットマンには先程会ったが、ハードマンには会っていないそうだぞ」
「そっかあ。じゃあやっぱりニードルくんかな。仲いいもんねあの二人」
「ニードルマンは先週から博士の御供をしているが」
「ええ? そうだったっけ?」
「ああ」

 余計放電を激しくして悩みだしたスパークマンに、シャドーマンは慌てて声をかける。

「思い出せないなら構わないんだ。自分で探すことにするよ」
「でも、ここまで出かかってるのにー・・・。やっぱりタップマンじゃないかなあ?」
「いや、その、誰が一緒にいたかわかっても、結局ハードマンがどこにいるかはわからないだろう」
「え?」

 首を捻ったまま放電を止めたスパークマンは、少ししてまたカシリと電極を打ち鳴らした。

「本当だ。そういえばそうだね」
「ああ。悩ませて悪いが、ハードマンを見かけたら拙者が探していたと伝えておいてくれ」
「うん、それはいいけど、そういえばなんで通信を使わないの?」
「・・・拙者は通信が使えないんだ」
「あ、なんかそんなこと言ってたね。じゃあ今僕がハードくんに連絡したらいいんじゃない?」
「・・・・・・」
「僕は通信使えるしさ」

 今度はシャドーマンが手を鳴らす番だった。

「頼む」
「はーい。任せて」

 なぜか「あ、もしもしハードくん? 今どこにいるの?」と声に出して通信を開始したスパークマンを見て手持ち無沙汰になったシャドーマンは、今大声を出したら今度こそスパークマンは驚くだろうか、とどうでもいいことを考えていた。