轟音。轟音。悲鳴。轟音。
倒壊する建物の中に赤いロボットはいた。
赤いロボットというのもそろそろ冗長なので、赤いロボット改めメタルマンは手にしたブレードを出しては投げ出しては投げを繰り返して大量の悲鳴を生んでいた。
逃げまどう人間たちを無表情で眺める。

与えられた任務の内容は、「施設にいる人間を存分に痛めつけること」だった。
北では大量の竜巻が発生していて、メタルマンのいる施設からはメキメキとかバリバリとか不穏な音がしている。
一〇〇階建ての建物はそろそろぽっきりと折れて三〇階建てという方がいい感じになりそう。

施設内にいる人間は建物の規模に対してわずか70人。
因みに、メタルマンに適当に脅かされて、バブルマンがいる方の出口から出て行ったのが59人、60人、61、62・・・65人。

早くあと五人を逃がさなければ建物が三〇階建てになってしまう。
Dr.ワイリーの野望があくまで世界征服であることをよく理解しているメタルマンは、うっかり腕を切り落としかけた一人以外は概ね無傷で逃がしていた。


今窓から出て行ったのが66人目。
メタルマンはブレードを取り出して振り返る。振り返った先に67人目と68人目と69人目と70人目。69人目が一番前に立って何か黒い箱を掲げている。

黒い箱とは本当にただの黒い箱だ。爆発物でもなんでもない。

しかしメタルマンは持ったブレードを投げることができなかった。
指の間からするりと抜けて、タイル張りの地面に音もなく突き刺さる。













メタルマンが突入し、エアーマンが建物を揺さぶり始めてから一〇分後。

一〇〇階建ての建物が三〇階建てになっても、出口で待つバブルマンのもとにメタルマンが帰ることはなかった。