「最近フラッシュの様子がおかしい」
出発前にクイックを私室に呼び出したメタルはこう言った。
言われたクイックは普段のフラッシュの行動を思い浮かべてみたが、ずっと前から変わらず無愛想だということぐらいしかわからなかった。
「そうか? 特に変わってないと思うけどな」
「基地内で見る分にはな。だが何かしらの変化が起こっているのは間違いない」
クイックは眉をしかめた。ドアにもたれかかるのを止めて、ほとんど高さの変わらないメタルのアイカメラをじっと見る。
「その変化っていうのは、悪い変化なんだろ」
「俺はそう思う」
「だったらこんなところで俺と喋ってないで、」
「メンテナンスはした。電子頭脳も含めたやつをな」
メンテでもしたらどうだ、と続けるつもりの言葉を遮られて、クイックは口を閉じた。それを一瞥してからメタルが続ける。
「フラッシュのCPUは俺たちのような追記型ではなく可変型だ。プログラムの変異を発見しても、それがウイルスによる攻撃の跡なのか、経験による書き換えの証なのかさっぱりわからん」
「…どういうことだ」
「ウイルスも、ウイルスに侵入された痕跡もなかったということだ」
ならば問題ないのではないか。
そう思ったが口には出さなかった。メタルの声が聞いたこともないぐらい真剣なものだったからだ。
「現時点ではお手上げだな。しばらく様子を見るしかないが、フラッシュの変化が一番分かりやすく現れるのは任務時だ。お前一人でも達成できる任務にフラッシュをつけた理由がわかるな?」
了解の意は頷くことで示した。
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