さながら監獄のように研究施設を覆う厚いコンクリートの壁は物理的に乗り越えた。今回の任務は誰かにばれてはいけないとか、徹底的に施設を破壊しなければいけないということもなく、正面に見える建物に正面から入っていってわかりやすく地下に作られた研究室にある兵器を破壊して正面から出てくれば終わりだ。
そのためクイックはフラッシュの傍から離れないようにしようと思っていた。
「二手に別れるか」
フラッシュがそう言ったのは目標の建物に至るまでの道中だった。警報装置も切らずに堂々と侵入したのでそこら中でアラートが響き回っていてうるさい。そんな状態なので当然、警備ロボットや有人ライドアーマーがクイック達のもとに集結しつつあった。
「別に一緒に行けばいいだろ」
「お前本当にバカだな」
フラッシュは一番近くにいた二足歩行の警備ロボットをバスターで牽制しながら言う。
「俺に合わせてたらご自慢の足が使えないだろうが。外から来るやつは相手してやるから、とっとと行ってこい」
その通りだった。
メタルにフラッシュから目を離すなと言われたと伝えれば反論できるのだろうが、当のメタルからフラッシュには言うなと言われているのだから、クイックとしては口をつぐむしかない。
それに、今までフラッシュのことを注意して観察してみたが、やはりメタルの言うような異変は見つからなかった。
自分の足なら十分とかからないだろう。何の問題もない。
「…行ってくる」
そう判断して、クイックは濡れた地面を蹴った。
→